こんにちは!モモンガ(自然大好き保育士)です!
自閉症の子どもを保育園で保育するということも珍しくなくなってきています。今回は、自閉症の特徴と、援助の仕方をまとめて紹介します。こだわりってそもそも何?というところから書いているので、是非読んでみて下さい!
自閉症スペクトラム(ASD)の特徴
文字が早くから読める、一見天才的で理解が高いように見える
自閉症の子どもの特徴として、文字に興味を示すことが非常に多いです。
また基本的に記憶力が良く、ナンバープレートや電車の車体番号、人の会話全てを覚えていることも。
幼児ながら難しい漢字が読めたり、百人一首を全て覚えていたりもあります。
その記憶力ゆえ、成長していくにつれ、ある分野で驚異的な能力を見せることもあります。
基本的に文字に興味があって単語をいろいろ覚えているものですが、文字を規則的に覚えているだけで、実は意味までは分かっていないことが多いです。
例えば、「窓を開ける」とあれば、「まどをあける」と読めるのですが、窓を開ける動作は分かっていないという感じです。
文字は変化がなく、ある一定の規則に従って構成されているので、環境の変化にとても過敏で刺激として大きく受けやすい自閉症の子供は、こういったパターンのあるものに親しみやすいのです。
環境の変化に弱いってどういうことか?ということについては次で説明しますね。
こだわりが強く、自分ルールをつくらないと適応できない
これは、生活する上で自分なりの順番、方法を作っていることが多いということです。
朝起きて、まずは洗面台に行き、何分で歯を磨き、何を何グラム食べ、この道順で学校へ・・・みたいな細かいルールを決めている方も実際多くいらっしゃいます。
これは何故なの?ということなのですが、おそらく、変化や予想出来ないことに対する恐怖が高いということが挙げられます。
あとは、毎日決まった反復行動を取ることで、安心感を生み出しているためとも考えられます。
いずれにせよ、自閉症の方はその場その場での切り替えが苦手なのです。
よくあることを例にすると、「外遊びの予定だったけど、雨が降ってきたので中止」などの突然の変更を受け入れられず、パニックになることも多々あります。
自分自身へのこだわりは大人になって、徹底的な自己管理につながることもあり、悪いことではないのですが、周りの理解がないために苦しむことも少なくありません。
人の気持ちが分からない、抽象概念に乏しい
これまで規則的なものに親しみを抱き、変化を嫌って自分なりの反復行動をとることを書いてきました。
この他に、自閉症の子どもの関わりでよく見られることは、空気を読めないということです。
これらの全ては抽象概念が影響しています。
抽象概念とは簡単に言うと目に見えないものです。
カードに描かれた車と新幹線を見せて「どっちが速い?」といったようなものです。
これは人に対しての気持ちを読むことにもつながっていて、「こうしたら悲しいだろうな」「本当は嫌なんだろうな」などの俗に言われる言葉の裏を感じ取れるのも、抽象概念の発達によるものです。
自閉症の子どもはこの機能が乏しいために、人の気持ちが読めず、空気を読むことができません。
平気で「ブサイクだね」なども言ってしまいます。
そのため、人間関係では主に小学校以降、トラブルになることが多いです。
対応(個別支援、援助)について
いよいよ個別の支援なのですが、スケジュール、終わりを意識する方法はADHDの子どもの支援にも使えます。
自閉症の場合は、見通しをつけることで、安心して生活するねらいがあります。
ADHDの記事でも書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
スケジュールの導入~次は何をするを知るために~
自閉症の子どもは、時間の流れがきちんと感じられていません。
例えば、外遊び中片付けの時間がきたとして、大体の子どもは「また遊べる」とどこかで感じながら片付けができますが、自閉症の子どもの場合、遊びの時間が終わると、「もうできない、できない!」だけなのです。
「このあとまたできるよ」という約束が見えるように、時間の流れが分かるような支援が必要なのです。
その為に、その子専用の1日の流れを書いたスケジュールを用意します。
文字が読めない子どもへは、その活動のシンボルとなる絵や写真でもOKです。
1つ1つ終わったら剥がしておしまいボックスに入れ、活動の終わりと、次を一目で分かり、意識できるようにします。
これによって、見通しがつくので、安心して生活がしやすくなるということです。
逆に、ルールを決めてあげないと、子ども自身が勝手にルールを決めてしまいます。
そうなるとこちらが「濡れるから傘をさして」などと語りかけたとしても、絶対に拒みます。
スケジュールは私たちで言う駅の看板のようなものです。
生活する上で指標となる、見やすく、分かりやすいものを用意しましょう。
時間の区切りをつける方法を指導する~終わりを意識する~
指導する時のコツなんですが、終わりを意識できるように指導すると良いです。
例えば、終わりの時間だけど「終わりたくない」と言うこと多いでしょう。
そんな時は、タイマーを使って「鳴ったら終わり」など、終わりのルールを決めましょう。
自閉症の子ども自身が、自分で区切りをつけられる経験を積むことがねらいです。
突然の変更は、変更カードを使って徐々に対応しよう
自閉症の子どもも、社会に対応していくために成長していかなくてはいけません。
変更はできるだけ少なくするのは基本なのですが、何か突然の変更があったときは、そのルールを作ってあげましょう。
変更を知らせるために、変更の場所を作って、そこに活動カードを入れます。(画像の右側緑の枠)
スケジュールボードに変更の色と同じ枠を貼り付け、どこと変更かを示します。
そして、子どもがそのカードと、スケジュールを入れ替えて変更を学びます。
変更になったとき、子どもがその刺激を受け入れる方法を知ることで、パニックも少なくなっていきます。
嫌なこと、いけないことを視覚的に伝える
友達に対してしていいこと、悪いこと、静かに待つことも、絵を描いてルール化して渡してあげると良いでしょう。
文字は声よりも変化がなく、自閉症の子にははいってきやすいので、得策であると言えます。
その場合は、やっていいこと、よくないことの2つ必ず掲げて、どうすれば良いのかが明確に分かるようにしましょう。
集団保育について
無理なく集団に入る
集団生活へ無理やり入れても、よくありません。
自閉症の子どもにとって、みんなと一緒のことをする、集団で生活するということは、かなりのストレスになります。
ちゃんと自分の居場所が分かるように、自閉症の子どもの場所にその子の好きなマークをつけておくようにしましょう。
制作活動などで、友達と一緒にすると気が散ったり、気になってしまう様子でしたら、その子専用の区切った場所を作ってあげて、集中できる場所を用意してあげましょう。
もしも、パニックになったら一人で静かにいれる場所に移し、クールダウンをして、自分から外の世界へと目を向けられるようになるまで待ちます。
人との関係は自閉症の場合はその子のペースで歩ませてあげると良いと思います。
無理やり人と関わる機会をもたせず、こちらもあせらずその子の世界に寄り添ってあげるようにし、安心してまずは過ごせるようにしましょう。
場所とやることを一致させよう
場所の移動は環境が変わるので、切り替えは特に大きな課題だと言えます。
例えば、体育館へいくなら、スケジュールの横に体育館の写真カードを貼っておき、それをもって、体育館の入り口につけられたポケットに入れるようにすると、これから行く場所とやることが分かって、不安も少しは楽になります。
大事なことは、次に自分のやること、何処でやるかを理解して、見通しをつけて行動することです。
突然の変更は出来るだけ避け、あるときは書いてお知らせしよう
突然の変更は保育園でもつきものです。
変更カードで対応できればいいですが、できないときだってあります。
そんなときは何をするのか、内容を書いてお知らせするようにしましょう。
その子専用の小さいホワイトボードを用意して、文字が読める子なら文章で、読めない子には絵でお知らせするようにしましょう。
こうすることで、その子どもからすれば、突然知らない所に連れて行かれるよりも、ずっと安心して活動ができます。
その子がほっとする、好きなことが出来る時間をつくろう
自閉症の子どもにとって、自分が余裕をもっていられる世界、一人遊びはとても大事です。
これによってガス抜きしているところもありますし、子ども自身が自分のペースで成長している瞬間でもあります。
音や温度、感触に敏感であることの多い自閉症の子どもにとって、集団生活はかなりストレスがかかる場所です。
他の子と全て同じと思わずに、その子のできるところを見極めて、できたら好きなことができるという楽しみをおいておきましょう。
前向きに「できたね、楽しかったよ」を積み重ねることが、外の世界へと繋がる経験になっていくのです。
加配について 担当になったら?まずは子どもをよく知ろう!
これまでは自閉症の子へのマニュアルのようなものを書きましたが、実際は子どもによって様々です。
そこで!その子に応じた受け入れやすいルールをつくってあげること、枠組みをつくるために、どうしたら良いかをこの章では解説していきます。
好き、苦手、どんな行動をする?子どもを詳しく知ろう
子ども理解はどの子にも大切なのですが、自閉症の子どもを保育する上では特に理解が必要です。
今興味があること、苦手なところ、過敏なところ、逆に鈍麻(鈍い)なところ、パニックが起きたらどんな風になるか、人に対して興味はあるか、知的障害はあるか、今までどんな支援を受けてきたかなど、細かいところまで知ってから方法を考えていきましょう。
方法から理論を学んでいこう
まずは困り感、困ったところからどう改善していくと良いか?と方法を探ります。
そして、その方法が理論に結びついているかを学びましょう。
先に理論を勉強しても良いかもしれませんが、私は実際の子どもの姿に合わせて支援方法を実践してから理論を学んだ方が、より鮮明に学べると思います。
理由として、文章で理論を勉強しても、子どもによってその表現の仕方は様々だからです。
また覚えなくてはいけないことの範囲がとても広いので、その子どもに合わせて理論を学んでいくほうが良いと思われます。
焦らず、失敗も含めて「この困り感にはこうしていこうかな」と手数を出していくことが、その子への理解につながります。
外の世界に向くために 自立を促そう
ただの付き人にならないために、その子がたとえ支援者がいなくても、ツールを使って日常生活が送れるように目指しましょう。
よく、個別に担当がついたものの、手を引いてこっちだよあっちだよとお世話して、卒園の頃には前より成長したから良いかというケースがあります。
しかし、自閉症の子どもにとっては自分の使える力で人との関係を築ける能力になっているか?
というと、そうでもなく、進学した先々で苦労するという人生が待っています。
支援する上では、できることを増やそう!という感じで考えていきましょう。
ここが保育士の腕の見せ所です。
できることが増えると子ども自身も楽ですし、先生も楽で、余裕をもって関わりを築いていくことができます。
保護者対応について
自閉症の保護者は、とにかく不安な方が多いように思います。
特に多いのは、スーパーへ連れて行くのにも、些細なことでパニックになって困り果てるというケースです。
可愛い子どもだけど、どうすれば安定して過ごせるのか、車が好きなら色々連れていったりしたとか、やってみるのですが、結局パニックになったりして怒りたくないけど怒ってしまう・・・そんな自分に嫌気がさす。
こんな感じで、保護者の方自身、どうしていいか分からないので、「保育園でうまくやっていけるんだろうか・・・」「将来は・・・」という漠然とした不安に包まれているのです。
保護者へは、幼稚園で「こうやるとパニックにならず過ごせましたよ、楽しく過ごしましたよ」という前向きなことを言うようにしましょう。
また、パニックになってしまったことも、隠さず伝え、「お家ではどうですか?」などと一緒に考える形が良いと思います。
段々と保護者の方から不安や自分の気持ちなどを言ってもらえる関係になっていきますので、焦って距離を縮めようとせず、冷静に、優しく、あたたかみのある対応を心がけましょう。
まとめ
自閉症の子どもはやりたいことがはっきりしています。
なので、その子の好きなことをベースに、やりとりを深めていくこともできるので、遊びを深めていくことはやりやすい場合も多々あるでしょう。
自閉症の子どもは、忘れることができず、突然昔のことを思いだして笑っていたり泣いていたり・・・
一見すると理解できなくて「また何かやってる」と思うかもしれません。
しかし、しっかり寄り添って、子どもの世界が分かると、とても可愛く思えてきますよ。
そして、ADHDの記事でも書いたとおり、自閉症の子どもとの関わりにも周り(園長先生や、主任、その他の先生)の協力が不可欠です。
そういった先生の協力が得られる園であるか?ということも、かなり大事なポイントになりますよ。
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