こんにちは!モモンガ(自然大好き保育士)です!
退職金は長く働くと何百万、何千万もらえることもある大きなお金の話です。
でも、中身はややこしいもの。
その制度について知らない方のために、退職金制度の基本的なお話、いくらくらいもらえるか?制度別、私立公立に分けたシュミレーション、もらえない可能性について、ぜーんぶまとめました!
退職金の基本のお話 「退職金ってどんな制度?」
退職金は退職したときに一時的にもらえるお金のことです。
ちょっと詳しく退職金のことについてみていきましょう。
退職金は法律で決まっている制度ではない
雇い主が退職金制度を定めていなければ、退職金を与えなくても法律的には問題ないです。
なので、退職金制度がない園で「退職金ください!」といってももらえません。
公立は公務員なので、必ず退職金制度を取り入れています。
私立の場合、自分の勤めている園に退職金制度があるかどうか、それはいくらなのかを就業規則で確認する必要があります。
「退職金制度はありませんよ」となっている場合、残念ですが何年働こうが退職金は一銭も出ません。
「退職金制度に基づいて支給します」となっている場合、何年勤めるといくらもらえるのか?確認しましょう。
ちなみに、受け取り方もそれぞれで、退職する時に一括で支給される退職一時金制度や、退職した後、一定期間または生涯にわたり一定の金額が年金として支給される退職年金制度があります。
ほとんどは一括と分割を併用している場合が多いです。
勤続年数が短いともらえないことがある
退職金はそれぞれの勤め先で独自に決めているので、もらえる額も何年からというのもばらばらです。
※公務員は大体一緒です
私立に限って多いのは、勤続3年から退職金がもらえるという制度です。
なので、1年、2年だけではもらえないこともあります。
職場の就業規則をしっかり確認してください。
給与や賞与に比べて税金はあまり引かれない!
給与や賞与は「住民税、社会保険、所得税、こんなに引かれるの?!」と思う場合が多いです。
しかし、退職金はそれらにくらべると、税金として引かれる額が少ないことが特徴です。
ちなみに、税金は園独自に決めているわけではなく、国が決めています。
公務員であろうが、私立であろうが、関係なく、退職金の額によって決まります。
詳しい計算方法とかはややこしいので、4章で紹介しています。
自分の退職金の手取り額が知りたい方は、参考にどうぞ!
退職金の相場
今回は、社会福祉法人で退職手当共済制度に加入している場合、していない場合、株式の場合、公立の場合の4種類紹介しています。
すべて、初年度の基本給が180,000円、基本給が1年ごとに月額5000円ずつ上がっていくことを予測しての計算です。
これで、公立、社福、株式どれが1番退職金をもらえるか?ということがわかると思います。
社会福祉法人で退職手当共済制度に加入している場合
福祉医療機構の「退職手当共済制度」は社会福祉法人であれば加入できる制度です。
加入している場合は、決まった金額がしっかり払われるので、園の独断、嫌がらせで払ってくれないというトラブルもなく、信頼できるのが良いところです。
ちなみに1年目から出るので、そこもうれしいところですね。
ただし、額が上がるのは3年働いてからとなります。
こちらを参考にいたしました。
社福2年勤務
189,000 円
社福5年勤務
513,000 円
社福10年勤務
1,586,250 円
社福20年勤務
5,292,000 円
社福30年勤務
11,880,000 円
社会福祉法人で退職手当共済制度に加入していない場合
福祉医療機構の「退職手当共済制度」に加入していない場合は、園独自の退職金制度になります。
小さいところだとそもそも退職金制度がない園もあります。
ある場合だと、100万までとか上限が決まっていたり、もらえるまでは5年以上となっていたり、いろいろです。
ただ、基本給から計算されることが多いので、次の株式の場合(一般的な退職金)を参考にしていただければと思います。
正しい数値については、園の就業規則を確認してください。
株式(一般的な退職金)の場合
株式の場合は3年から退職金を払うというところが多いです。
計算方法なのですが、基本は勤続年数×基本給×給付率=退職金で計算されるところが多いです。
給付率が0.55なのか、0.35なのか、はたまたいくつなのかで変わってきます。
この給付率というのは、やめた理由が自己都合、会社都合で変わってきます。
- 自己都合・・・引っ越し、結婚、病気など、自らの意志で退職する場合(給付率は大体0.6くらいが多い)
- 会社都合・・・倒産、リストラ、定年など、自分の意志とは関係なく退職する場合(給付率は0.7くらいが多い)
今回は、初年度の基本給が180,000円、基本給が1年ごとに月額5,000円ずつ上がっていくことを予測しての計算です。
給付率は自己都合を予測して0.6とします。
株式3年勤務
351,000円
株式5年勤務
615,000円
株式10年勤務
1,380,000円
株式20年勤務
3,360,000円
株式30年勤務
5,940,000円
公立の場合
公立の場合は1年勤務から出る場合が多く(臨時職員はない場合も多い)退職金が手厚いことで有名です。
公務員と同じ退職金なので、定年まで勤め上げると、2000万以上ということも普通にあります。
公務員は長く務めるほど、もらえる額がいろいろ高いので、辞める人はなかなかいません。
計算方法としてはちょっとややこしいのですが、
退職手当=基本額+調整額
基本額=退職日給料月額×支給率
調整額=調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額
となります。
支給率は勤続年数で変わってくるのと、退職理由(自己都合の場合、定年の場合、整理退職の場合)で変わってきます。
調整額についてはちょっとややこしいのと、およそ金額にして0円~95,400円の間なので、割愛します。
今回は、自己都合で辞めた場合で、初年度の基本給が180,000円、基本給が1年ごとに月額5,000円ずつ上がっていくことを予測しての計算です。
調整額は無視しています。
公立2年勤務(支給率0.6)
111,000円
公立5年勤務(支給率3.0)
615,000円
公立10年勤務(支給率6.0)
1,380,000円
公立20年勤務(支給率23.5)
6,580,000円
公立30年勤務(支給率41.5)
13,695,000円
退職金をもらって辞める方法
この章では、退職金を多くもらうために、確実にもらうために、知っておいたほうがいいことを紹介しています。
年度末までやるべきか?
退職金は加入から年単位で計算されるので、年度途中で辞めるよりも、年度末まで働いたほうが多くもらえます。
大体1か月の基本給額くらいの差はあります。
例を出して言うと、2012年4月に入職したとします。
2017年3月末に辞めても、5月に辞めても、12月に辞めても、2018年1月に辞めても、退職金は全部5年間計算され、変わらないです。
なので、どうせ辞めるなら年度末に辞めたほうが、退職金的には良いといえるでしょう。
退職後、どのくらいで支払われるの?
大体相場は2~3か月です。
多くの場合、税金を差し引いた支給額の半分は一括で入金されますが、半分は毎月10年に渡って支払われるようなケースが多いです。
額が低いときは一括で払ってもらえることが多いです。
これは働いている場所や期間によってもばらつきがあります。
例えば、3月は退職者が多いので、手続きが遅れて3か月以上かかることもあります。
逆に退職者が少ない月であれば、2か月くらいが大体の相場です。
退職金を受け取るときに必要な書類をなくさないように!
退職の際の書類は全部大事にとっておいてください!
雇用保険者離職票、健康保険資格喪失証明書は特に大事で、手続きのとき100%必要です。
それに、退職金をもらうための証明になるものなので、命綱と思って大事にしてください。
大事にしすぎてどこにしまったのかな・・?ということのないように!
再発行するには、前職の園に連絡を取り、本人確認をして、送ってもらい・・・と、手続き独特のめんどくさーいことが待っていますからね。
払ってくれない!なんてことある?
公務員である場合、社会福祉法人で福祉医療機構の「退職手当共済制度」に加入している場合は、戦争が起きて国家が機能しなくなったでもない限り、払ってくれないということはないでしょう。
しかしながら、園独自で設定している場合、払ってくれないということは少ないですがありえます。
その法人がつぶれてしまえば、払えないので払いませんというケースがあったり、いい加減な経営をしているところが、私的感情から払いたくないからと、勝手に減額したり払わない悪質なケースもあります。
経営不振に陥って退職金制度自体がなくなってしまった場合も、払ってもらえません。
しかし、泣き寝入りする必要はありません。
1度労働基準監督署や法テラスに相談してみましょう。
入職時にはちゃんと労働契約し、就業規則があるので、その規定通りに払ってもらえるように指導してもらえたり、弁護士がついて請求してくれたりします。
それでも払ってもらえない場合は裁判しましょう。
額が大きい場合は裁判しても、法人自体がなくなっていなければ損になることは少ないです。
退職金にかかる税金について
ここでは、面倒な税金の計算について説明します。
退職金は税金がかかりますが、賞与や給与に比べるとその額は低いのが特徴。
どうなっているのか見ていきましょう。
①まず、退職所得控除を計算します
これは、勤めている期間が20年以下か、21年以上かによって変わります。
- 入職期間20年以下の場合=40万円×勤続年数
- 21年以上の場合=800万円+70万円×(勤続年数-20年)
となります。
②支給される退職金から退職所得控除を差し引きます
- 退職金が1,300,000円で勤続20年の場合。
1,300,000円-400,000円×20年=-6,700,000となります。
この場合はこの時点でマイナスなので、税金はかかりません。
- 退職金が13,000,000円で勤続21年の場合。(公立でもこの半分くらいしか実際もらえませんが)
13,000,000円-{8,000,000円+700,000円×(21年-20年)}=4,300,000円
この場合はここから③に進みます。
③差し引いた額の50%に対して所得税、住民税がかかってきます
所得税=課税金額×税率-課税控除額
一覧はこちらです↓
課税所得金額 |
税率 |
課税控除額 |
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円越え~330万円以下 |
10% |
97,500円 |
330万円超え~695万円以下 |
20% |
427,500円 |
695万円超え~900万円以下 |
23% |
636,000円 |
900万円超え~1,800万円以下 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円超え~4,000万円以下 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円超え~ |
45% |
4,796,000円 |
住民税は住んでいる地域によって違います。
ボーナス(賞与)と違って、結構手元に残るのが退職金なのです。
まとめ
5年未満の短い勤務年数なら、どこもそこまで退職金は変わらないですが、10年、20年、30年となるうちに倍以上差がついてしまう結果となりました。
やはり公務員は圧倒的な退職金ですね。
定年退職まで勤め上げる気持ちがよく分かります。
退職金は長期的に働く観点から、大きなお金です。
正しい退職金の理解と、これからの転職先の目安にしていただければと思います。