自由保育の魅力と設定保育との違い|ポイントは先出しと後出し。どちらも経験した保育士が教えます!

2017年12月15日

こんにちは!モモンガ(自然大好き保育士)です!

今の保育に行き詰っていませんか?合っていないと思っていませんか?

「もっと子どもを自由にのびのび過ごさせてあげたいな」こんな願いもっていませんか?

そんなあなたにおすすめしたいのが自由保育です。

今回は、自由保育と設定保育(一斉保育)について、そもそもそれって何?どんな違いがあるのか?実際の園ではどんな1日を過ごすのか?知りたいことを全部まとめました!

設定保育と自由保育の違いを一言でいうならば!※大事なポイント

超簡単に言うと、保育をしかけていくのが自由保育は後出しで、設定保育は先出しという違いです。

少し詳しく文章にしてみます。

  • 自由保育は子どもが自分で活動を選び、その自由な活動の中で、保育士がねらいにむけて指導する。
  • 設定保育は保育士の願い、ねらいに沿った活動の中で、子ども一人ひとりに合った援助を行う。

という違いがあります。

極端にどちらの考えが完璧で正しいというわけではなく保育士として自分が保育するなら大まかにみてどちら向きなのか?

ということの参考にしていただければと思います。

設定保育も自由保育も、保育士が子どもの主体性を1番大切にすることは変わらないですし、100%自由、100%設定というような偏った保育観ではなく、保育するにおいてこの理念をどう使うかが大切だからです。

では、これらを踏まえたうえで、詳しく自由保育と設定保育について見ていきましょう!

自由保育の魅力と特徴

自由保育って? 自由と放任は違う!

自由保育は、子どもが自分で興味ある遊びを行っていき、それに対して保育士が「じゃぁ、どう環境をつくっていこうか?」というような、子どもの自主性と自発的な行動の育ちを目的とした保育理念です。

実際の展開は様々で、遊びごとに保育士がいるようなコーナー保育や全員園庭に出すような自由遊びをメインとしている保育まであります。

1例を紹介すると、4歳児が友達同士で一緒に砂の団子をつくっていたとします。

保育士は思います。「もっといろんな素材があれば、遊びを広げていけるのではないだろうか」

こうして葉っぱや木を採りに行こうという話を子どもに持ち掛け、一緒に採りにって遊びを広げていきます。

そして「みんなで一緒にパーティごっこしよう」と発展させます。

これは見方によっては設定保育でありますが、自由遊びからの発想を汲んで保育につなげたもので、理念からすると自由保育となります。

自由保育が形態の呼び名ではなく、理念の呼び名ということが分かっていただけると思います。

ちなみに、子どもが100%自由に遊んで、遊べている子、遊べていない子がいる中、保育士が見ているだけで何もしないというのは放任保育です。

平たく言うと、形式はある程度自由にさせていますが、決まりがあって、ねらいもあって、環境づくりや働きかけを積極的に行っているのが自由保育なのです。

保育者の役割

役割は大きく2つです。

  1. 適切な人的、物的環境を用意すること
  2. 子ども(たち)の過去の姿、今の姿を見て、未来の姿を予想し、適切な援助を行う

1に関しては、一人ひとりの子どもが、豊かに遊べるように広さ、種類、量といった遊ぶ環境を整えるということ、つまり保育者が子どもの姿から何に興味があるのか、子どもの姿から何に発展できるだろうか予想して環境をつくることになります。

環境を用意するための環境があるか?というところがポイントです。

例えば、地面に穴を掘りたい!という話が出たとして、硬い地面を掘り進むには、それなりの道具が必要ですが、それがあるかどうか?またそもそも地面があるかどうか?ということになります。

子どもが自由にのびのびと遊べるだけの場所を用意できるか、使う玩具一つとっても、子どもの姿から適切に用意されているかということが重要です。

そして、それを用意できる人間がいるかということもとても大事なポイントです。

極端な話、一人の保育士で30人の子どもを見て対応するのは不可能に近いです。

自由保育は保育士の手が必要です。

しかしながら、保育士だと誰でもいいか?ということではなく、かなり経験と知識を持っている保育士が必要なのです。

というのも、設定と違ってある程度決められたカリキュラムがないため、設定に沿って保育を進めることができないので、ごまかしが一切きかない実力勝負になります。

発達の知識、子どもの心の理解、それに答えられる対応力・・・挙げればきりがありませんが、保育の引き出しを多く持ち、援助力のある先生が環境として必要ということです。

この援助力、つまり2についてなのですが、今の子どもと集団を見て、どういう目的で個々が動いているか?ということを把握し、必要に応じて必要な分だけ援助するということです。

例えば、子どもへの声かけひとつとっても、なんとなく、その方向を示してあげるような誘導する声かけ、「どっちがよい?」と選択させてあげる声かけなど、子どもを援助する上で重要な要素になります。

教育要領、保育指針にも「子どもの主体性を尊重する」といった言葉がいたるところに入っており、自由保育の理念は理想ではありますが、それを形にするには人数が必要であったり、保育士の豊かな発想力や知識経験が必要であったりと、難しいのが現状です。

自由保育の歴史

自由保育は19世紀、フレーベルという人が個人の独自性を根本とするという保育理論を説いたのがはじまりと言われています。

この考えは広く分布し、日本にも明治時代にやってきました。

が、フレーベルの保育理論ではなく、作った玩具やその使い方しか広まらず、日本式のさせる保育が生まれたのです。

知的教育玩具を使った指導保育、遊戯の練習のような保育が主流になっていたころに、倉橋創三という教育者が保育者主体の保育に疑問を感じ、「もっと子どもの自発性、個性や能力を生かした保育ができないか」と考えて「自由保育論」を提唱したのです。

これが日本で自由保育が広まるきっかけになりました。

その後はいったん自由保育が消滅してしまったような時期もありましたが、平成2年に要領に子どもの遊びを通しての指導を記載し、遊びが見直されはじめました。

また自由保育が少しずつ増えはじめ、そして現在の教育要領、保育指針では「子どもの主体的な遊び」ということが重要視されています。

日本でもいろんな保育園が増えてきて、自由保育も見直されてきている今です。

これからは自由保育が増える?

日本が抱える問題に、「応用問題がニガテだ!」ということがあります。

小学校の世界的な学力テスト、OECDの結果、日本は基礎問題の正答は高いのですが、応用問題になるとガクッとさがっている背景が近年あり、自分で考える力の重視がされてきています。

つまりは、やれグローバル化だの言っている日本ですが、肝心の中身が世界に追いつかないとだめだ!という感じです。

そして、子どもが自分で考える力はどうつけたらいいのか?ということが、乳幼児期の保育にも降りてきていて、子どもの主体性が見直されてきている今、「お行儀よく、何かを習得させる」ことが良いとされていた考えから、「問題解決能力を育む」ことにシフトしてきています。

自由保育は子どもの主体性を軸に、子どもが自分で問題を解決するよう働きかけるので、この流れにはのってきそうです。

もう一つ、東日本大震災から、自然や環境に対して関心を持つ人が増え、同時に今まで子どもをのびのび育てた方が良いのではないか?という潜在的に思っていた家庭が行動に移すようになりました。

自由保育は今、いろいろな視点から関心が高まっており、取り入れる園も増えると予想されます。

設定保育(一斉保育)の特徴

設定保育って

設定保育(一斉保育)とは、保育者が主体となって、指導目的に沿って遊びを展開し、クラス全員で一斉に行うことです。

日本の基本的なスタイルとしてよく見ますね。

「もうすぐクリスマスなので、今日はみんなでクリスマスツリーを書きましょう」というような感じで全員一緒のことをする活動が主です。

保育者が計画を考え、それ通りに実行していくといったスタイルです。

保育者の役割

設定保育(一斉保育)ではクラスを一斉に見て、同じことをさせるので、集団を動かすスキルが必要です。

どの子どもも楽しく取り組めるように、指導計画を練って遊びを考えなければなりません。

集団の中の子ども一人ひとりを知り、個人差に配慮しながら支援を行うことも大切な役割です。

設定保育の歴史

設定保育は日本では昔から行われていた方法です。

行儀よく集団行動するところから、自然と設定保育(一斉保育)のスタイルが用いられるようになったのではないか?とモモンガは予想しています。

誰が作って、どうやって広めたかははっきりとはしていないようです。

そんな設定保育が日本で主流な理由は、保育者の配置が日本の基準で収まるからという理由があります。

配置基準とは、3歳児は20人に対し保育士1人などのルールのことです。

この配置基準にできる限り沿って保育者を配置すると、自由保育のスタイルは無理なのです。

子どもがそれぞれ興味あるところで遊びを展開し、それを見守るには保育者の目が必要なのです。

なので、効率よく、一斉に保育できる設定保育(一斉保育)が日本では主流なのです。

自由保育、設定保育それぞれの効果の違い、メリット・デメリット

自由保育のメリット

柔軟な保育が可能

自由保育では、子どもの姿に応じて援助をしていくので、子どもの姿から「こうしたら楽しいんじゃないかな?」ということを柔軟に展開することができます。

子どもの声をそのまま保育につなげていける柔軟さは自由保育のメリットです。

子どもの主体性を尊重できる

自由保育では、子どもの興味あることに沿って保育を展開していくので、子どもの主体性を最大限活かせることがメリットです。

子どもが一生懸命遊んでいることを、そのまま保育士がねらいを加えて見守ったり、広げたり、100%子ども主体の保育を実践することができます。

コミュニケーション能力が育ちやすい

自由保育では「見守る」ということが一つのキーになっています。

例えば5歳の子ども同士では、お互い言葉で気持ちをぶつけたり、けんかしたり、仲直りしたりして、コミュニケーションを体得していくのです。

コミュニケーションは座学では学ぶことはできず、体得するものなのです。

保育者が見守る中、子どもにできるかぎり任せることで、子ども同士でのコミュニケーションは育ちやすいといえるでしょう。

自由保育のデメリット

保育が難しい

自由保育は一歩間違えれば放任保育になってしまう危険性があります。

保育士は常に子どものことを広い視点で見ておかなくてはいけません。

見守る保育でも、ただ子どもの可能性を信じて見守ることと、見通しをもって見守ることでは全然違います。

自由保育は子どもの姿から子どもが楽しく、成長するためにどういう仕掛けをしていくか?ということが問われますので、細かく計画がある設定保育よりも、保育が難しくなります。

保育士の人数を必要とする

自由保育の理念に従い、子ども一人ひとりの個性や可能性を追求していくには、それだけ保育者の数が必要です。

形態にもよるのですが、目安として数字だけ見積もっても、現状の大体2倍は必要です。

理想を求めて自由保育するには、人件費がかかるというわけです。

小学校を意識した取り組みはどう行っていくか?

自由保育でよく言われるのは、座って何かをするという習慣がないので、小学校の45分授業スタイル、言わばバリバリの設定型になじめないのではないか?という問題です。

放任ならそうなっても仕方ないかなとは思いますが、規則やルールを守る、友達と協力して周りを見ながら行動するような経験を積んでいる子どもは、小学校に上がっても順応していきます。

しかしながら、確かにギャップがあると子どもは戸惑うかもしれないよねということは、考えられる話です。

そこで、年長の3学期で小学校に向け、毎朝「ひらがな」をやってみるということもよいかもしれません。

最初は自分の名前を、次は何か単語を3回朝登園したら書いて、出すというものです。

もちろんそれまでには文字が書きたくなるような活動を、何回も何回も入れていることが条件なのですが。

小学校ではノートをとるし、宿題もします。

そういった書くスタイルに少しずつ慣れていくと、不安はないかもしれませんね。

設定保育のメリット

どの子どもも平等な内容の教育や経験が受けられる

設定保育(一斉保育)では、保育士が的確なねらいや計画をもってそれを子どもに経験させるので、どの子どもも平等にある程度の経験ができます。

なんとなく、クレヨンはとっつきにくかった子どもも、とりあえずやってみることで好きになったりすることは大いにありますし、バランスよく経験が積めるということは大きなメリットだといえます。

与えられたことをする経験から、小学校の形に親しみやすい

小学校の学習スタイルは言うなれば設定保育です。

ひらがな、漢字、計算・・・と、大人の決めた学習が与えられ、それを会得していきます。

1日の時間割も決まっています。

設定保育(一斉保育)は小学校のスタイルと同じなので、子どもが小学校に上がってからも馴染みやすいというメリットはあります。

集団を前にするスキルがあれば、成り立っていきやすい

これは一人ひとりに合わせた言葉かけ、援助でなくても、集団慣れして要領さえつかめば、とりあえずは成り立っていきやすいということです。

保育士不足の世の中で、細やかな保育がしたくても人数の問題からできないということがどうしてもあります。

設定保育(一斉保育)なら、カリキュラムに沿って行うので、とりあえずの保育は成立しやすいという利点はあります。

設定保育のデメリット

設定する時間内、一人ひとりに合った経験ができない時もある

設定保育(一斉保育)は全員に行きわたりやすいですが、一方で子どもがやりたい遊びがあったとしても、設定の時間になればできなくなるので、柔軟性は自由保育に比べて乏しくなります。

子どもの豊かな発想や価値観を活かすことは難しいことがデメリットのポイントです。

形から入るため、子どもが指示待ちになりやすい

これは保育士主導の保育をずっと行っている園にありがちです。

子どもが「先生トイレにいっていいですか?」と自由遊びのときでも聞いてくるようになったり、自分から積極的に考え出す、答えを考えることをしなくなってしまったりします。

きちっと保育しないと、自由保育では放任になってしまうのに対して、設定では指示になってしまうのです。

実際の現場はどうなっているのか

実際の現場は朝から夕方まで設定、ずっとすべての日が自由、のような極端なものではありません。

「これだけは経験させておきたい」ということは設定をし、あとは子どもの主体性を活かした自由遊びに力を入れるといったように、バランスよく何が今の子どもに必要か?ということを試行錯誤しながら取り入れています。

その1例を今回は一日のスケジュールで紹介します。

自由保育の実際例1 基本は自由遊びで朝の会、帰りの会がある形

  ~9:00

登園・自由遊び

9:30

朝の会

 

自由遊び・散歩

11:30

手洗い・昼食

13:00

午睡

15:00

起床、おやつ

 

自由遊び・クラス活動

16:30

お片付け・帰りの会

17:00

降園(延長保育)

この園では子どもの意見や興味に沿って設定も展開します。

自由遊びの中から遊びを広げた形が「みんなでやってみよっか」という感じで設定につながるのです。

なので、自由遊びがほぼすべてを占めています。

自由保育の実際例2 基本は自由遊びだが、週に1度は設定をするような混合型

  ~9:00

登園・自由遊び

9:30

朝の会

 

設定保育(その後に自由遊び)

11:30

手洗い・昼食

13:00

午睡

15:00

起床、おやつ

 

自由遊び・クラス活動

16:30

お片付け・帰りの会

17:00

降園(延長保育)

この園も基本は「自由保育の実際例1」のスケジュールです。

ですが、子どもにある一定の必要な力をつけさせたいと、保育者が週に1回ほど設定を入れている、その日のスケジュールです。

設定保育の実際例1 自由遊び以外は設定型

  ~9:00

登園・自由遊び

9:30

朝の会・設定保育・その後自由遊び

11:30

片付け、昼食

13:00

午睡

15:00

起床・おやつ

 

自由遊び

16:30

片付け・帰りの会

17:00

降園(延長保育)

こちらは基本設定型の園です。

ですが、自由遊びを大切にしていて、設定で得た力や経験を自由遊びで展開できるように、魅力あふれる設定保育をしよう!というのがコンセプトです。

なので、設定保育の後に自由遊びが入っていたり、自由遊びを大切にしていることがわかります。

自由遊びは設定の間の時間としている保育園もあり、環境がおろそかにされていることもありますが、そういった園ばかりではなく、こういった園もたくさんあります。

まとめ

設定保育も自由保育もそれぞれの良さがあります。

しかし、完璧な理念などはなく、結局は一つの価値観でしかないのです。

子どもの主体性を引き出すのは、保育者です。

いろんな方法、知識に基づいて今の子どもには何が良いのか?を試行錯誤し続け、子どもの最善の利益につながるように保育できる保育士ならば、設定でも魅力あふれる保育をしますし、自由保育においても良い関わりをします。

保育士も人間なので、自分がどこに向いているのか?子どもに経験させる上で何を重視するのか?ということで、基本理念を考えるとよいでしょう。

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モモンガさん

某都市で保育士として数年勤務。最初の職場は園の方針が合わず、悩みに悩んだ末に転職しました。現在は関東の保育園で活躍中しています。森林インストラクターの資格も持っている大自然派。

-学び、子どもの発達

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