園の「子ども主体=好きにさせる」保育に疑問です【第427回|保育士お悩み相談】

2020年4月27日

こんにちは、ほいくのおまもりです。

今回の相談者からのお悩みは、『勤務先は子ども主体の保育に力を入れていますが、個々を大切にするあまり、相手の気持ちを大切に考えていないのではと感じます』というご相談。

回答者のほいくのおまもりは『こまりんさんの気付きは子どもがこれから成長する上でとても大切なことだと感じますので、ご自身が感じる保育を進めてみてはと考えます』とアドバイス。

どうぞ、御覧ください。

保育士お悩み相談(LINE)

こまりん
【性別】女性
【年齢】30代
【保育経験年数】5年
【相談文】
子ども主体の保育に力を入れる保育園で働いています。自分でやりたいことを見つけて方法を考え達成させる子ども達の姿それはステキなことだと思います。しかし「子ども主体の保育」=「好きなことをする」ではないと思うのです。園では0歳~3歳の子どもがいます。給食いらなくなったら投げたりする子に「お腹いっぱいかな」立って遊ぶ子に「ごちそうさましようか」また歯ブラシを加えながら走っている子に「持って走りたかったんだね」遊びの中ではブロックを全部使わないと作りたいものができないから友達が貸してと言ってきても「まだAちゃんが全部使っているようだから」友達を叩いたり押し倒している子に「これがまだ使いたかったんだね」「これは触ってほしくなかったんだね」保育士のこれだけの声かけは子ども主体と言えるのでしょうか。
私は食べ物を投げたり落とす子には、もう食べたくないのかなも認めつつ、だけど食べ物を粗末にすることはいけないことだよと伝えたいです。歩き回る子にはまだ食べている子もいるから迷惑かかることや、食べたくないようなら楽しく食べれるよう工夫してみたりします。
歯ブラシを持って走る子には、喉に刺さってしまうかもしれないことを伝えたり、ブロックを独り占めして使っている子には、みんなで使う楽しさも伝えたり待っている友達もいるよ我慢してる友達もいるよということを伝えたい。
叩いている子には叩かれて痛かった、怖かった、嫌だったという思いをしている子がいるこことも伝えていきたいのです。何でも自由であってはいけないと思うのです。自分が何をやってもいい自由があるのと同時に友達にも何をやってもいい自由があるでもこの何をやってもいい自由同士が一緒になると衝突しますよね。だからルールやこれはしてほしくないなをしっかり伝えていきたいのですが園の方針だと“その子がやりたいことを…”と言われます。してほしくないこと等を伝えていくのはおかしいですか?個々を大切にしてくださいと言われたのですが、その子の気持ちは満たされよいのですが給食中も、遊び中でも相手がいる場合その相手も個々になりますよね。相手の思いは大切にされてない相手の子の気持ちはどうでもよいの?と思ってしまいます「子ども主体の保育」「個々を大切にする保育」どう保育していけばよいのでしょうか
ほいくのおまもり
ありがとうございます。

ご相談文を読ませていただきました。
少しでも気持ちが晴れるよう、当方も一緒に考えていきたいと思っております。

お辛い中申し訳ありませんが、お時間を頂けたらと思います。

こまりん
よろしくお願いします
ほいくのおまもり
こんばんは。

お待たせいたしました。

【勤務先は子ども主体の保育に力を入れていますが、個々を大切にするあまり、相手の気持ちを大切に考えていないのではと感じます】とのご相談につきまして、当方の回答としましては【こまりんさんの気付きは子どもがこれから成長する上でとても大切なことだと感じますので、ご自身が感じる保育を進めてみてはと考えます】。

お話を拝見し、当方はこまりんさんの考えに深く共感いたしました。
こまりんさんの望んでいらっしゃることがまさに「保育」なのではと感じます。

「子ども主体の保育」は確かに保育をする上で重要な考えの一つではないかと思います。
実際に「保育所保育指針解説」の「保育の方法」の中の項目の一つとして「一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感をもって活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること」との記載があります。
ただし、他の項目としてこのようにも記載されています。
・子ども相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること
・子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること

参考資料として「保育所保育指針解説」をご紹介いたします(当方が紹介した内容はP21〜P24となります)。

保育所保育指針解説|厚生労働省

保育園は集団保育であり、子ども達にとっては初めての「社会的なルール」を学ぶ場になるでしょう。
子どもの個々を大切にするばかりでは、このような社会的なルールを学ぶ機会が失われてしまいます。
「子どもを主体にする」から何をしても良い、何をしても自由ということは決してありません。
ルールやきまりが土台となって、その上に自由があるのではないかと感じます。
ルールやきまりは子ども達の活動を制約するためのものではなく、子どもの安全を確保したり、子ども同士が仲良く過ごすためにあるのではないでしょうか。

いらなくなった給食を投げたり食事中に歩き回ることはいけないことです。
歯ブラシをくわえて走ることは危険です。
まずは子どもの気持ちに寄り添う前に「いけないこと」や「危険なこと」を知らせなければなりません。

おもちゃを独り占めしたり、友達を叩いたりすることについては、子どもの気持ちに共感することも必要です。
ただ、共感しただけでは、子どもが「相手を思う」ことに気づかないままとなってしまうでしょう。
また、意思が強い子の意見が通りやすくなるでしょうし、自分の気持を表に出すことが苦手な子どもにとってはいつも欲しいおもちゃが使えず、叩かれて「嫌だった」という気持ちに気付いてもらえず、悲しい気持ちになるのではないでしょうか。
おもちゃを貸してもらえない子も叩かれた子も、同じように「個々の子ども」です。

保育はその時限りのものではなく、子どもがいずれ卒園した後でも保育の中で経験したことが土台となり、活きていくでしょう。
子ども達の「これから」にもつながっていきます。
こまりんさんのような対応が子ども達の経験を豊かにし、身につけながら成長していくのではないかと感じます。

「個々を大切にする保育」という方針とのことですが、叩く子も叩かれる子も皆同じ「個々の子ども」と考えれば、こまりんさんの対応は方針に沿っていると判断できるでしょうから(そもそもこまりんさんの考え自体何も間違ってはいないと思いますが・・・)、自信を持って今までどおりの保育を続けても良いのではと思います。
こまりんさんの考え方は何もおかしくはないのですよ。

もし今後もやりづらさが続くのでしたら、いずれは保育観の合う園への転職を考えても良いかもしれませんね。

少しでも悩みが解消されますよう、願ってやみません。

1ヶ月後・・・

こまりん
以前は悩み事を聞いていただきありがとうございました。
その後、正職員もパートも一緒に「子ども主体の保育」について話し合う機会を作っていただきました。
私の思う「子ども主体の保育」を伝えたところ共感してくれる保育士も多くいて嬉しかったです。園長には響いてないようですが。
共感してくれる保育士が何人かいてくれるおかげで今もなんとか頑張れています。
自信を持って今までどおりの保育をしていきたいと思っています。

悩み事を聞いてくださりありがとうございました。

ほいくのおまもり
こんばんは。

その後の様子が気になっておりましたので、お話を伺うことが出来て嬉しいです。

正職員・パートの枠を超えて「子ども主体の保育」について話し合うことが出来たのですね。
一人ひとりが「保育とは何か」を考え行動する大きなきっかけになったのではと感じております。
共感してくれる保育士がいることも心強いですね。

当方はこまりんさんの保育にとても共感いたします。
これからも自信をもって保育を続けて頂けたらと願っております。

お身体には気をつけて、頑張って下さいね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ほいくのおまもり(妻)

サイト管理人夫婦の妻の方。幼稚園でアルバイト2年、正職員6年、保育園で保育士3年。合計11年、この業界に関わりました。結婚を機に退職し、現在は3児の母。他に、夢の国のキャストや大手監査法人で事務職を2年半経験しました。買い物が大好きで、セールの季節はそわそわしています。

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