虐待疑いの子に、自分の過去を思い出してしまいます【第392回|保育士お悩み相談】

2020年3月9日

こんにちは、ほいくのおまもりです。

今回の相談者からのお悩みは、『虐待疑いの子どもがいます。自分も虐待を受けた過去があり、自分の経験を子どもに重ねてしまい、とてもつらいです』というご相談。

回答者のほいくのおまもりは『こまりんさんお一人で抱え込もうとはせず、上司や周りの先生に相談をしながら子どもの様子を見守ってみてはいかがでしょうか』とアドバイス。

どうぞ、御覧ください。

保育士お悩み相談(LINE)

こまりん
【性別】女性
【年齢】30代
【保育士経験年数】保育士一年目
仕事を続けていきたいし、子どもが好きで、もっと保育の質を高めたいと思うけれど、辛くて今後が不安になります

自分のクラスに虐待されているかもしれない子がいて、クラスでその子や保護者との関わりが凄く難しい…

その子が凄く自分を出すし、主張して泣いてるし、泣きながらも頑張ってるし…
周りの先生たちと相談しながら保育しているけれど…

降園のときに、その子どもと親の会話聞こえてたり、いつもそのお母さん怖い顔していたり…
周りの先生も顔色怖いよねとか、その子との関わり難しいねって言っているけれど…

私は小さい頃、親から虐待されて育って、いろいろ克服してきたけれど、今でもトラウマがあるし、心の傷がのこっていると思います
仕事に取り組んだり、友達と遊んだりって普段は情緒安定しているし、平気です

子どもとの関わりとか、親子の会話とかから、自分の小さい頃を思い出してしまったり、同じように感じてしまったり…
自分と置き換えてしまうこともあります
仕事中、泣きそうになったり、仕事が終わると情緒不安定で辛くなります…

仕事だからって、その子の問題だからって気持ちを切り替えているけれど、時々辛い感情に引きずられそうになったり、心が痛いです
トラウマを克服してきても、仕事だからって気持ちを切り替えていられないなら辞めるしかないのかなって、でも続けていきたい…
個人の問題でもあるし、どうすればいいのか分からないです

ほいくのおまもり
こんばんは。

子どもの様子からご自身の過去の姿と重ね合わせてしまうとのことで、こまりんさんも幼い頃にどれほどおつらい思いをされてきたかと胸が痛みます。
少しでもお役に立つような回答となるよう、考えていきたいと思います。

お辛い中申し訳ありませんが、お時間を頂けたらと思います。

ほいくのおまもり
こんにちは。

お待たせいたしました。

こまりんさんご自身が過去に受けた虐待を子どもの姿に重ねてしまうのですね。
それだけ過去にこまりんさんがおつらい思いを抱えて過ごしてこられたのでしょうし、こまりんさんがおっしゃるとおり、心の傷を癒やすのはなかなか難しいことだとお察しします。
また、ご自身の経験から子どもの悲しみやつらさに対しても敏感に感じ取るようになられたのかもしれませんね。

【虐待疑いの子どもがいます。自分も虐待を受けた過去があり、自分の経験を子どもに重ねてしまい、とてもつらいです】とのご相談につきまして、当方の考えとしましては【こまりんさんお一人で抱え込もうとはせず、上司や周りの先生に相談をしながら子どもの様子を見守ってみてはいかがでしょうか】と考えます。

現在も周りの先生方に相談していらっしゃるとのことですので、引き続き、お一人で抱え込まず周りの先生方の力を借りながら見守ってみてはと感じます。
「虐待疑い」とのことでかなり注意深く経過を見守る必要があるでしょうから、 (会議の際など)職員全体で子どもの様子や家庭環境について共有し密に連携を取り合い、何かあればすぐに知らせてもらう、という体制をとった方が良いでしょう。
また、その際には園長や主任といった上司とも連携を取り合うことを強くおすすめします。
虐待がエスカレートするなど万が一の際に、児童相談所等にスムーズに相談が出来るよう、日頃から子どもの様子を上司に伝えておくことは非常に重要なことであると感じます。

子どもに対しては「あなたの気持ちを受け止めているよ」「あなたの存在を大切だと感じているよ」と子どもの存在そのものを受け入れていく姿勢を見せていくと良いかもしれませんね。
子どもが主張する時には「これだけ伝えたい思いがあったんだね」、泣きながらも頑張っている時には「あなたの頑張っている姿をいつでも見守っているから大丈夫だよ」時には「自分のペースでやってもいいんだよ」と肯定し、子どもが安心して自分を受け入れてくれると感じる居場所を作り出せるよう方向づけてみてはいかがでしょうか。

また、保護者に対してもさりげなくフォローを入れ、保護者が抱えるストレスや悩みを子どもに「虐待」という形ではなく、相談する等「言葉」で表すことで解消することは出来ないか、探ってみるのも良いと感じます。
この役割はこまりんさんよりも年齢や立場が上の、主任や上司といった方にお願いしても良いかもしれません。
保護者がもし不安やつらい思いを抱え込んでいるのであれば、上記の子供と同じように気持ちを受け入れてくれる・包み込んでくれると感じるような方(主に人生経験が豊富な方)だとより安心して悩みを打ち明けてくれるかもしれません。
上司と保護者の信頼関係が徐々に築けた頃に、こまりんさんも対応すれば良いのではと感じます。

「安定した親子関係が築かれ、保護者の養育力の向上につながることを目指す」ことも保育士の大切な役割の一つです。
これにつきましては、「保育所保育指針解説」でも詳しく記述していますので、よろしかったらご覧下さいね(342ページからになります)。

保育所保育指針解説|厚生労働省(リンク切れ)

こまりんさんの過去のつらい経験から、どうしてもご自身と子どもの姿を重ねてしまうことは致し方がないことだと感じます。
ただ、「ご自身の経験」というフィルターがかかり、子ども本来の姿とは異なった解釈をしてしまったり、時には冷静に見守ることが難しいと感じることもあるかもしれません。
そのような時に日頃から客観的に子どもを見守ってくれる「周りの先生」の存在はとても頼りになるのではと思いますよ。

少しでもお悩みが解消されましたら幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ほいくのおまもり

サイト管理人夫婦の夫の方。保育士を3年勤めた後、営業や経理、自営業など幅広い仕事をして社会人14年目。異色な人生経験を少しでも役立てたいと思いから、2016年4月にこのサイト立ち上げました。3児の父でミニマリストの読書好きです。好きな言葉はLess is more.

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