娘が落ち込んで、保育士を辞めたいと言います【保育士お悩み相談|第29回】

2018年6月13日

こんにちは、うしさんくまさん(保育士&社会人歴のべ24年)です。

今回は保育士として働き始めるも、1ヶ月程度でやめたいと思っている保育士の親御さん。

くまさん(妻)はその場で我慢し続けるのではなく「逃げる」「離れる」という選択肢を自分で新たに作っても良いのでは?とアドバイスします。

悩み(要約)

  • 勤めて1ヶ月程度だけれど、保育士を辞めたい
  • 初日から残業、3日目から泣いて帰ってくる…
  • 公立保育士を目指す予定だったけれど、今は別の仕事がいいと思っている…

お悩み相談のやり取り(LINE)

あおさん:大卒新卒でこの4月から市の嘱託保育士として市立の保育園で働き始めた娘の件です。

よくある話ですが、保育士を辞めたいと言っています。

理想を持って保育士になり、いずれ嘱託→正規採用試験を受けるつもりで希望に道溢れた目で社会人1日目を迎えました。

入園式の前ということもあり、初日から帰宅が8時過ぎ、3日目から泣いて帰ってくるようになりました。

未満児クラスになり、同僚は同じ嘱託の大学生の子供さんがいらっしゃるおばちゃん先生2人と3人。

他のクラスには若い先生もいますが、接点がなく1ヶ月以上たちますが、話をすることはおろ、顔も見ない位だそう。

未満児クラスなのでトイレも部屋にあり、1日中おばちゃん先生と3人で過ごしているそう。

おばちゃん先生は、年が同じ位なので気が合うのか、朝から晩まで悪口を言って息が詰まると言っています。

保護者の若いママさんや、若い栄養士さん、辞めてもう居ない先生の事まで出して来てああでもないこうでもないと。

親の私位の年齢になると、そんな話は当たり前にしっていて、全く珍しいことではないですが、娘はまだまだ純粋で世間知らずで、がっかりしたようです。

市職の公務員試験を受けるなど考えていますが、嘱託とはいえ同じ市の職員なので、くら替えするなら3月まで勤めながら 6月の市職試験に挑戦するのが良いですが、6月いっぱい気持ちが持つかが自信ないと言っています。

印象悪いですが、辞めて市職試験を受けるだけ受けるのも手だと言いました。

とにかく保育士として市の正規職員を目指す当初の気持ちは全くなくなり、無関係の仕事にいきたいそうです。

民間の一般企業は行きたいところがなく、公務員なら目指したいと言っています。

そうなると勉強したいけど、保育士を続けながらは時間的余裕も、気持ちも追い付かないらしいです。

たった1ヶ月で辞めたいと思う自分に対して根性無しで甘えていて逃げている。もう生きていたくない。と言っています。

思い付く限りのアドバイス、提案をしましたが落ち込みが激しく困り果てています。

娘は進学校から1浪して、まあまあの女子大に行きましたが、児童学科に進学したこと、更には高校が進学校だったことまで後悔していると言っています。進学校のプライドが邪魔になるんですね。

とりあえず休まず仕事には行きますがまっ暗い顔で毎日過ごしています。

アドバイス宜しくお願い致します。

保育園は閉鎖的になりがち

くまさん:娘さんがお悩みとのことですね。

保育園は一般的な会社に比べると規模が小さく、小さな空間で職員数人が常に顔を合わせることになり、閉鎖的な環境に陥りやすいです。

特に娘さんが担当されている未満児クラスは、トイレの配置など物理的な面を見ても他学年の子供や保育士と関わる機会がより少なく、さらに閉鎖的になります。

この閉鎖的な小さな保育園という規模、クラスという空間のために、他の保育士の言動がどうしても目に入りやすく、場合によっては摩擦が生まれることもあります。

保育士だけではなく、子供や保護者に対象が向くこともあります。

噂話、悪口、きつく当たる、といった行為がそれに当たるでしょう。

これに同調する保育士が同じ空間にいると、まさにあおさんが書かれたように話す内容は悪口だらけという保育士も残念ながら存在します。

娘さんが滅入ってしまったように、常にマイナスのことを話されるのは気分が良いものではありませんし、その矛先がいつ自分に向くかという恐怖もあるでしょう。

会社などでしたら外で食事をしたり休憩を取ることで気分転換をはかることもできるのですが、保育園の場合は出勤してから帰るまで同じ環境で過ごすので、辛い時には逃げ場がなくどうしようもない気持ちになってしまうと思います。

今回のケースは保育園に限った話ではなく、どの職場でも起こりうることで、確かに珍しいことではないのかもしれません。

ただ、このようなトラブルに巻き込まれた本人にとっては「自分が」つらいということが全てです。

他にもよくあることと言われても、周りがどうであるかは本人には関係がない、ということになるでしょう。

娘さんはとても真面目で賢い方だと見受けられます。

一度決めたことは最後までやり遂げたいという責任感も持ち合わせていらっしゃいますね。

もしかしたら正規採用試験をいつ受験するのか、さらにはその先の人生設計まで具体的に頭のなかに描いていらっしゃったのかもしれません。

高校や大学などの受験は自分との勝負になるでしょう(場合によっては友達との駆け引きもありますが)。

学生時代は先輩との上下関係や友達との関係はあるものの、まだ自分の望む方を選択できる余裕もあります。

ところが学生生活を終え就職などで社会に出ると、理不尽な状況下に置かれ、自分ではどうしたら良いのか分からない場面に遭遇するかもしれません。

人によってはそこで人生初めてのつまづきとなることもあります。

ただ、その場で我慢し続けるのではなく「逃げる」「離れる」という選択肢を自分で新たに作っても良いように思うのです。

言葉こそネガティブな印象を受けますが、それは自分を守るためのものなので決して悪いことではありません。

むしろ我慢し続けることでどんどんと悪循環に陥ります。

「逃げたくない」という思いに固執するあまりに精神的に追い詰められてしまうのは良くないことです。

ところが真面目な性格であればあるほど「逃げるのは良くない」と我慢し続ける傾向があります。

娘さんがそのタイプなのではないでしょうか。

現在娘さんは気持ちに余裕が無いため、将来の展望も分からなくなっていらっしゃいますね。

出来ればこの環境から一旦身を引き、精神的な面で健やかに回復するための時間を作っても良いのかな、とも思います。

6月に市職試験があるとのことですので、受けるのでしたら回復も兼ねて勉強するための準備期間に当てても良いように思います。

1ヶ月で辞めることは甘えでも根性なしでもなく、たまたま職場が娘さんに合わなかっただけなので、どうか辞めることに負い目を感じないで頂けたらと思います。

あおさんは娘さんに沢山のアドバイスをされたとのことですが、娘さんの反応はいかがでしたでしょうか。

うんうんと耳を傾けている様子、もしくはそのアドバイスの中から同意したり反論したりする様子、聞きたくなさそうにしている様子、落ち込んでしまう様子・・・

今までに娘さんに困ったことが起きた際、あおさんと娘さんはお二人でどのように解決してきたのかは分かりかねるのですが(例えばアドバイスをしたり沢山話し合うことなど)、もし娘さんが聞きたくなさそうにしていたり落ち込んでしまう様子がありましたら、あえてそっとしておくのも良いかもしれません。

アドバイスは分かっているけれど気持ちがついていかない、自分でどうしたいのかを考え直したい、などもどかしい状況になっているのかもしれません。

私も子を持つ親なので心配になるお気持ちはよく分かりますが、そっとすることで娘さんご自身が心ゆくまで考えられる時間が生まれるかもしれません。

そのうちに娘さんから相談してくるかもしれないので、その際には娘さんが納得のいくまで話し合うと良いでしょう。

ただ、ひとつ心配なのが「もう生きていたくない」という言葉です。

真面目だからこそご自身を責めていらっしゃるのでしょう。

娘さんの側にいて、気分転換が出来るよう娘さんの好きなことに誘い出してあげてはいかがでしょうか。

外に出掛けたり、おいしいものを食べたり、音楽を聴いたり、読書をしたり・・・なんでも良いと思います。

新しい刺激でふと気持ちが楽になることもあるかもしれません。

ただ、じっとしていたい時には無理はしない方が良いでしょう。

そこは私よりもお母様であるあおさんの方が娘さんの性格をよく理解されていらっしゃるので、ご自身でさじ加減を調節して頂けたら、と思います。

娘さんの将来がより良い方へと動きますよう、願っております。

あおさん:こんばんは。

とても丁寧なお返事を涙が出るほどありがたく読ませて頂きました。

本当におっしゃる通りのお言葉や、助けとなるアドバイスばかりです。

ありがとうございます。

くまさん:少しでもお力になれればという思いでしたので、私も本当に嬉しく思います。

まだ日が経っていないので状況は大きく変わっていないかもしれませんが、1日でも早くもとの娘さんの姿に戻れると良いですね。

そして半年後…

あおさん:こんばんは。以前、娘が保育士の仕事で大変悩み、苦しみ、ご相談させて頂きました。

その後、家族で話し合い、5月いっぱいで仕事を辞めました。

保育士の仕事というよりは、職場に馴染めなかったわけですが、児童教育においてはまだまだ学びたいと思っていたようで、9月、10月と2つの大学の大学院を受験致しました。

ひとつは出身大学、もうひとつは地元の国立大学の大学院です。4ヶ月勉強した甲斐あり、2つとも合格することができました。

半年前の地獄のようなときを考えますと、身に余る幸せを感じております。

来年4月から、更に難しい環境になりますが、研究生として、より高みを目指し、知らないことを学べる有り難さをしっかり感じながら、未来を信じて、無駄のない時間を過ごして欲しいと思います。

辛かった2ヶ月間は、決して無駄ではなく大切な経験として今後に活かして欲しいと思います。

ご相談にのってくださり本当にありがとうございました。

やっと良い報告が出来ました。娘の人生はこれからです。

まだまだ迷い、苦しみ、悩みが尽きないと思いますが、必ず乗り越えて前向きに生きて行って欲しいです。

本当にありがとうございました。

くまさん:こんばんは。

あおさん、娘さんがその後どうされているかが大変気にかかっておりました。その後の様子を教えて下さいましてありがとうございました。

娘さんが退職されたとのことで、娘さんは勿論のこと、ご家族の皆様もほっと安心されたことでしょう。

保育現場であれだけ辛い思いをされたにも関わらずこれからも児童教育を学び続けるとのことで、心から子供や児童教育が好きでいらっしゃるんだなと大変嬉しく思いました。

あおさんがおっしゃる通り、娘さんに落ち度はなく職場に問題があったのですから、これからも自信を持って子供に関わる勉強を続けて頂けたらと思います。

今後あおさんも時には娘さんと一緒に悩むことがあるかもしれませんが、まずはご自身のお身体を大切に、程よく力を抜きながら乗り越えて行けると良いですね。

これからの未来が明るいものとなりますように。是非その後の様子をお聞かせ下さいね。

娘さんが楽しんでいらっしゃる報告を楽しみに待っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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ほいくのおまもり

サイト管理人夫婦の夫の方。保育士を3年勤めた後、営業や経理、自営業など幅広い仕事をして社会人14年目。異色な人生経験を少しでも役立てたいと思いから、2016年4月にこのサイト立ち上げました。3児の父でミニマリストの読書好きです。好きな言葉はLess is more.

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